|    |  COVA KAKUDA

自然と人が共存することで保たれる里海の美しさを次代に残すという思いから、新たな地域活性化と再建を目指し、
リゾート地の穏やかな海とは異なる「生きるための強さを持つ海」を木造建築で素直に表現した。
観光地として有名なリアス式海岸の一つ英虞湾の海は、地域の人々にとって見る為の海ではなく、
生きる為の海という位置付けで小さい頃から密接に関わってきている。

当時、真珠養殖が盛んだった英虞湾では多くの人たちが働き、工場のことを「コーバ」と呼んでいた。
大人にとっては仕事場であり、子供にとっては遊び場や学びの場でもあったが今では産業が衰退し、
建物、山、海の管理は人の手から離れ荒廃している。
山から海の復活に向けて自然のサイクルを人間の暮らしと共に見直し、手入れを行い使えるものは積極的に再利用している。

内装は古材を梁に、カウンターやテーブルは英虞湾を囲む山の木(廃材)を使用したりなど、
地域の多種多様な養分を含んだ様々な木を使うことで程よい心地よさと土地との繋がり深めている。
ここは生活であるが故に見えるもの全てが美しいとは言えない。
よって、見え方に選択肢を付ける事が重要だと考えた。
格子の升目が無数の額縁のように切り取られ、見る者に選択肢を与え視線に程よく邪魔をする。
いくつものシーンを増やす事で見る者を飽きさせない仕掛けをつくった。

 

COVA KAKUDA

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