|    |  神岳テラス(コワーキングスペース・キャンプ場)

神岳テラス(コワーキングスペース・キャンプ場)

耕作放棄棚田を活用したキャンプ場を併設するコワーキング施設。敷地は、伊勢志摩国立公園内に位置し、山深い場所を一部開拓した。
設計するにあたり、自然をなるべく触らないこと、自然に還るデザインであることを注意した。
クライアントからは、地域の働く人・地域で創出されたもの・地域の想いなどを大事にしたいという事が本施設をつくる理由だと言われたのでコンセプトは“ブリコラージュ”とした。ブリコラージュとは、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品としながら何を作れるか試行錯誤し最終的に新しいものを作ることである。
“養殖筏の廃材「ナル材」が主役となる外観意匠”
建設地の伊勢志摩は昔ながら海に関わる産業が盛んで豊かな地域であるが、その裏、その為の問題も多くある。
真珠・カキ養殖の筏の材をナル材と呼ぶ。近年、役割を終えたナル材が海に投棄・放置され問題となっていたことから、ナル材を建築材料として使えないかと考えた。ナル材は強度に問題があり構造材としては使えないが、ルーバー材として活用することで、あいまいに景色を捕えるカーテンの役割をはたしたり、風雨や鳥から大きなガラス窓を守ることもできる。自然に腐食されたナル材には独特の味があり、唐突に表れる真新しい建造物に目隠しをしてノスタルジックな印象を作り出す。建物を林・森の一部であるように見せる意図があり、横軸を入れ上げ下げすることで自然にナル材に目が行くようにした。コンクリートの基礎は、盛り土に青々とした芝を生やすことで1階部分を目立たず軽やかさが出るようにした。因みにナル材の使用にあたり、クライアント・市職員・設計者・工事関係者・漁業組合など協力して、自らが筏の解体にあたりナル材の調達を行った。
メインである棚田ラウンジはトラスの梁で、大空間でありながら、柱を無くした。曲線を帯びた床は400㎜ずつ下がっており、利用者同士のプライバシーとくつろぎながら働ける場所づくりを目指した。2階には、個室ブースも完備されており、YouTube撮影等も可能となっている。
1階のピロティーは、カフェ機能を持たせて、キャンプ利用者のくつろぎの場として活用する。
山を育てるために間伐された木材が、海で働いた後、再び山に戻り新たな役割を与えられる。そして最後は、薪としてその一生を終える。木の命を使い切るこの試みは、リサイクルではなくアップサイクルでありSDGsに繋がる。問題視されていたゴミを先進的な取り組みに繋げ、人々が山の問題を意識するきっかけになればと思う。

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