空の住む家
ホームセンター駐車場の一部という特殊な敷地条件のもと、
四方からの視線と喧騒を断ち切り、内に静けさをたたえた住まいを構想しました。
住まいの中心には、空へと抜ける庭。
その上には屋根を架けず、ただ青だけが広がる「空の天井」を設けています。
庭と室内はほとんど段差なくつながり、どこまでが内で、どこからが外か――
その境界をあえて曖昧にすることで、ひとつながりの風景をつくりました。
この家には、自閉症をもつ子どもが暮らします。
だからこそ、「飛び出さない」「こもれる」「それでも、見守られている」。
そんな空間のあり方を、家のあらゆる場所にそっと忍ばせています。
屋根の低い部分には、小さな巣のような籠もりの間や静かな寝室を。
子ども室は、庭と共用空間のあいだに設け、
光の中で安心できる、ちょうどよい距離感を大切にしました。
建築と庭と空がひとつになったこの住まいは、
家族の繋がりと静けさを、そのままかたちにしたような場所となりました。